私の現役期間中は、健康保険証というものを、町医者に提示して、治療を受けた記憶があまりない。幸いにして、私の会社には、週の半分ほど医師が常駐する小さな診療所があり、風引きや予防注射などは、そこで済ませたからである。指定の病院があって、年二回、その病院から、医師が出張してきて社内で行う健康診断を、取材などで忙しく、受けられなかったとき、その指定病院へ行って受けたが、健康保険証を提示したのは、そのときぐらいだったかもしれない。むしろ、生涯、車を運転しないままになり、運転免許証なるものを持ったことのない私は、クレジットを作るときなど、身分を証明するものとして、健康保険証を活用した回数の方が多いのではないか。年金生活者となり、後期高齢者となった今は、やや高血圧症で、投薬を受けており、健康保険証を提示して、よく町医者に通うようになったけれども。
また、私の妻も、ずっと職業についていたから、私の健康保険証を使うことはなく、一番多く使ったのは、乳児のときからよく病気をした、私の娘だったろうか。
いずれにしても、現役時代は、あまり気にかけなかった健康保険だが、年金生活となった今は違う。組合健康保険、定年後の国民健康保険、そして今の後期高齢者用健康保険と、幾種類もの健康保険を、渡り歩くことになった私だが、後期高齢者の新たな健康保険制度が実施されるようになってからは、年金からのその保険料の天引き額が増え、老後の生活を圧迫している。社会保障は、間違いなく後退している。
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